top of page

実績

導入事例

Case study

一人ひとりが“らしく”活躍できる会社・社会へ。

総力戦の、力の合わせ方を変えて組織のOSをアップデートする挑戦

自治体の業務を請け負う専門会社として今年で14年目を迎えたP社。従業員数が100名を超え、組織の成長に伴い訪れる壁、組織体制やマネジメントの課題を抱えていらっしゃいました。社長のUさんは大学で経営学を学び、社内でリーダー研修を導入するなど試行錯誤を重ねていた中、2024年から弊社に組織開発プロジェクトをご依頼いただいています。

<組織開発プロジェクト 概要>

クライアント:P社

Orangedale 担当:夏井

プロジェクト期間:2024年2月~(継続中)

本インタビュー:2025年1月実施

※以下は「U:」P社 U社長と、「夏井:」プロジェクトを担当したOrangedale 夏井の会話を表しています。

組織図はない方が楽?組織とは何か。

―プロジェクトが始まって約1年が経とうとしていますが、いかがですか?

​​

​​

​​​​​​​​​

U :やっと組織や人事の意味が分かってきた気がします。以前は「会社は」「組織は」という主語で語られることにピンと来ていませんでした。

 

夏井:日本にある企業の99.7%は中小企業で、人事組織や人事担当者がいないところも多い。それが悪いわけではなく、これからU社長が目指す未来に向かっていくためには、組織で成果を出せる体制づくりが必要でした。その舵取りをご一緒しています。

U :正直、私としては組織図はない方が話したい時に話したい人と話せるので楽です(笑)。でもスタッフにとって、当社で働く時間は人生のほんの一部。いつかは巣立っていくんですね。だから、当社だけで通用するのではなく、他社でも活躍出来る人材としていつか巣立ちを見届けたい。そういった話を夏井さんとしていた時に「スタッフが他の会社で活躍できるか、をベースにしたら?」と言われて刺さりました。私も含めて、社員一人ひとりが役割を持って活躍できる組織にしていきたいですね。

始まりは気軽なLINE相談。言葉にした=旗を立てたことで、覚悟が決まった。

―今回のプロジェクトは、どのように始まったのでしょうか?

 お二人は大学で接点があったと伺っています、弊社にご依頼いただいた理由を伺えますか?

 

―どこが刺さったポイントでしたか?

ディスカッションノート.png

U :実は最初は契約やプロジェクトなど考えておらず、夏井さんにLINEで軽く相談をしたことが始まりです。

「そういえば人事の仕事をされていたはず…」ぐらいの記憶で連絡しました。そうすると私が相談したことに対して、本当に的確にお返事をくださって。結果的に毎日のようにLINEをしていました(笑)

 

夏井:私も、こういった相談が好きなタイプなので楽しく会話をしながら、現場ではこういうことが起きているのかと学ばせてもらっていました。

 

U :しばらくして、さすがに個人で相談に乗ってもらうレベルを超えてきたと思い契約の話をしたら、「何ができるかまとめてみますね」と、当社の現状・向かいたい方向性・今後検討が必要な視点などをまとめたディスカッションペーパーを作成してくださった。その内容がまさに私の考えていたことや課題が言語化されていて、即決でした。

U :<5年10年この先も継続していく会社をつくる>ための組織づくりという点です。

簡単に言うと私は二代目社長で、仕事も社員も好きで気づいたら10年以上続いてきましたが、この先に対して自分の中で迷いや葛藤があったんですね。段々と社員数も増えていく中でさまざまな課題もあり、それもあって大学で学んだりしていました。

 

夏井:U社長の言葉の節々から、「会社を続けていきたい」という強い想いを感じていました。言葉にして旗を立てることで前に進むきっかけになることもあると考え、後押しできればと思っていました。

 

U :もう一つ、私のやりたいことは「優先順位は2番目です」とはっきり示してくださったことですね。例えば、女性管理職の育成や、障がい者・シニア世代の活躍なども大切ですが、組織体制を作ってから取り組むべきだと。

 

夏井:P社さんの状況を「組織の7S」の視点で検証した結果、ハードの部分、つまり組織の構造や職務分担、システム(制度、報酬意思決定や情報共有方法等)といった土壌を整えることが、U社長のやりたいことを実現するためには先だと判断しました。

組織課題を整理し、提出した資料。

「7S」とは、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した企業戦略における相互関係を表したフレームワーク。組織開発は範囲が広く様々な要素が絡み合うことから、当社では7Sを活用した分析・課題の検討を行い、芯の通った組織変革の実現を目指しています。

U :組織やシステムといったハードのSに関しては「組織で意思決定できれば変えられますよ」と言っていただき、まずそこから取り組もうと決めました。

業務一つひとつの意味まで丁寧に読み解き、組織の土台をつくる。

―プロジェクトが進む中で、変化を感じられていることはありますか?

 

プロジェクトの全体像.png

組織改編までのプロジェクトの全体像。※具体的な日付や名称は省略

方針検討から策定・実行フェーズと段階を追って進めていくこと、また、同時に急務だと考えた人事業務の実務支援を提案。P社の状況を常に観察しながら、計画通りの遂行が適切かどうかをその都度経営者とコミュニケーションを取りながら実行。結果としてプロジェクト計画を何度か調整し、予定していた時期に組織改編を完了している。

U :管理部ができて機能し始めていることは大きいですね。

中小企業の場合だと、管理部門は経理と労務の担当が1人いるぐらいの会社がほとんど。私たちもそうでした。でも従業員数が100名を超えてくると、人にまつわる様々な課題が出てくるので、人事機能も必要になってくる。

大学での学びもあって理解できてきましたが、実際にやったことはないし他の社員はなおさら未経験です。部の立ち上げから、社内での位置づけ、何をどうしていくのが管理部や人事の仕事なのか?を夏井さんが自ら丁寧に指導し、社員が自走できるよう道筋を作ってくださっているところです。

 

夏井:これまで100人で力を合わせて乗り越えられてきた皆さんなので、良くも悪くも仕事が属人化していることが多かった。業務を整理し、組織で成果を出すためにはどうすればいいのかを一緒に進めていて、その一環として就業規則を読み解く会を実施しています。

 

U :まさかここまでやってくださるとは思っていませんでした。ついつい形骸化させてしまいがちですが…夏井さんはそこを丁寧に読み解いて、社員の意識を変えてくれています。何より社員が楽しいと話していて、これが次の動きにも繋がってくるんですよね?

 

夏井:はい、今は就業規則の条文を一つひとつ読みながら、意味や内容の理解を深めています。そして、条文の内容を運用できているか?日常で起きているケースはどの条文を参照するのが良いか?今後どういった点に気をつける必要があるのか?などを、社員と一緒にディスカッションしています。これはそのまま今後の組織づくり、業務構築に直結します。

 

U :夏井さんは外部から支援をしてくれていますが、必要な時にはまるで内部にいるように関わってくださいます。単に型を渡すのではなく、型の意味を知ることによって規則/規程と現場を繋げる見方を教えてくださっていますね。

 

夏井:私は25年ほど人事に携わる中で、就業規則には深く関わってきました。人事業務の根幹は就業規則で、その土台は法律です。業務プロセスを整えるだけでなく、土台を知ることで業務の必要性が理解できる。そうやって動いていくことがプラスになると思ってご一緒しています。

 

U :コンサルティングだけではなく、私たちの会社やメンバーに合わせてやるべきことを丁寧に一つひとつ一緒に進めてくださっていて、とても助かっています。

知りたいけど見たくない。エンゲージメントサーベイの導入で見えてきたもの。

U :目に見える変化としては、エンゲージメントサーベイの導入も大きいです。最初は必要性も分かっていませんでした。

 

夏井:「見える化」を目的に提案しました。P社の皆さんは社員の声をとても丁寧に聞いていらっしゃいますがそれをうまく活かせていないのが課題でした。何が障壁になっているのかを知るには人の解釈が入りにくい生の情報を得ること、つまりサーベイによる情報収集が有効だと考えました。

 

U :実際にやってみると、勇気がいりますね。現実を突きつけられるので、知りたい一方で見たくない気持ちも湧いてきます。でも、見えてくるからこそ「これをやればいいんだ」とみんなで分かり合える。今の私たちには必要です。

 

3回実施しましたが、実は定量面でのスコアはまだ変わっていません。組織をつくること、変えていくことは簡単なことじゃないということがよく分かりました。でも、段々と結果をもとに話し合う、仮説を立てて検証してみるといった思考になってきています。

 

夏井:定性的な部分で確実に変わってきていると思いますよ!

例えば「不満」を表現するにしても、自分なりに考えて書いてくださっていることが伝わってきます。分析や提案を出してくださる方も出てきましたね。実施後の丁寧な対応等もあって「会社と社員との新たなコミュニケーション」ができつつあるのを感じています。

意思決定に欠かせない、相手や状況に合わせたハンズオン支援

Orangedaleのサポートは御社にとってどのように貢献できていますか?

U :夏井さんには何でも相談しているのですが、本当に丁寧に向き合ってくださる方だなと思っています。まず全部聴いてもらって、そして常に私自身が考えて意思決定できるようにサポートしてくださっています。経営者がマイコーチをつける意味がよく分かりました。私にとっても会社にとっても、“コーチ”の存在です。

 

夏井:ありがとうございます。私は「答えは相手の中にある」というスタンスで皆さんと向き合います。実務面では「教える」立場になることもありますが、U社長や社員の皆さんに寄り添いながら、時には異なる・反対する意見を提示する役割として、皆さん自身が考えて動けるようなサポート役として関わりたいと思っています。

 

U:それは私自身も大切にしていることなので、本当にありがたいです。

それから夏井さんは、先に話題にあがったように多岐にわたって関わってくださっているのですが、時に前から引っ張ってくださったり、時には横で一緒に手を動かしてくれたり、後ろから背中を押してくれるようなサポートをしてくださったり。一人で何役もしながら伴走してくださっていて、こんなに心強いことはありません。他の方に紹介するのに「コンサル」と表現するのがもったいないような、コンサルだけじゃない関わりをしてくださっています。

次のフェーズに進む上で、大切にしたいことは「らしさ」

最後に、これからの展望や期待についてもお聞かせください。

 

組織の発展段階モデル.png

組織の発達に伴いそれぞれの段階で訪れる壁(発生する課題)があり、「これまでどのようにして壁を乗り越えてきたか?」といった乗り越え方はその会社らしさが反映されていると考えています。当社では、組織の発達段階モデルを参考に、自社の状況を客観的に把握すること、また、課題の緊急性/重要性を見極めながら組織開発を推進しています。

U :会社を起点に風通しのいい共生社会を目指したいという夢があります。そのためにも、<5年10年この先も継続していく会社をつくる>ために始めたプロジェクトの中で、そろそろ最初の山場が来ると思っています。先々の夢を語りたくなりますがまずは今、夏井さんには変わらず近くで伴走してもらい一緒にこの山場を超えていきたいです。

夏井:今は利き手を変えるような、養成ギプスをはめているような状態です。U社長が打ち出す方針に対して前向きに捉えることもあれば、まだ今はできていない部分とのギャップもある。今までとは違うということに対してのモヤモヤ感や不協和音みたいなものは、どこの会社でも成長痛のように必ず発生します。でもそれが、一歩踏み出している証でもありますよ。

U:どんな会社もみんな通る道なんだと思うと、安心して進めます。私自身の変化も会社の変化も、これからが楽しみです。

夏井:そして、P社さんの「らしさ」を活かして進めていくことは大切にしたいですね。社員同士の関係性の深さ、周りを気にかけるコミュニケーションはP社さんの強みだと思います。その関係性があるからこそ、組織の変化の波も「一人じゃない」と思える強さになると思います。

U :そこを「らしさ」と言ってもらえて、すごく嬉しいです。社員自ら、休日に公園で子どもを遊ばせながら話し合う場を設けたこともありました。

 

夏井:そんなこともありましたね!一緒に心から悩める仲間がいるのがP社ですよね。

 

U :これからは社長業として、一人ひとりが役割を持って活躍できる・成長できる組織づくりを進めていくのが私の仕事ですね。これからもよろしくお願いしますね!

 

夏井:こちらこそ、よろしくお願いします!

bottom of page